熊野古道は、熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)に詣でるための道である。熊野は、古くから神々の住む聖地として崇められ、大自然の中にある熊野へ厳しい道を乗り越えて詣でることで、来世の幸せを神々に託すという信仰が生まれた。これが「熊野詣」である。
「熊野古道を歩く」 第2回はこの熊野三山を訪ねた。といっても、歩いたのは熊野九十九王子のひとつ、浜の宮王子から那智大社に至る古道。速玉大社と本宮大社はバスでのお参りである。
熊野本宮大社は、和歌山県本宮町にあり、かつては熊野川の大斎原に本殿があったが、明治時代に大水で流され、今は川のそばの小高い丘にある。
熊野は古くから人々の熱い信仰に支えられた聖地であり、熊野詣が盛んであったのは平安時代の中期から鎌倉時代にかけてであると伝えられている。中でも、宇多上皇以来、法皇・上皇の御幸も盛んで白河院が12度、鳥羽院が23度、後白河院が33度、後鳥羽院が29度参詣されたと記録されている。江戸時代に入ってからは庶民の参詣が多く、「蟻の熊野詣」といわれたほどである。
本殿へと続く158段の石段の両脇には幟がなびき、生い茂る杉木立が悠久の歴史を感じさせる。一歩一歩石段をのぼり詰め、総門をくぐると、檜皮葺の立派な社殿が姿をあらわす。この社殿は平成7年に国の重要文化財に指定された。
三重県の最南端、紀宝町から熊野川を渡ると和歌山県新宮市、間もなく熊野速玉大社に到着する。速玉大社は、全国に数千社はあるといわれる熊野神社の総本宮でもある。
祭神は、熊野速玉大神(いざなぎのみこと)・熊野夫須美大神(いざなみのみこと)を主神に、十二柱の神々を祀り、新宮十二社大権現として全国から崇敬を集めている。
速玉大社の境内には、平重盛が植えたという神木「なぎの老樹」がある。
樹齢1000年、幹周り6メートル、高さ30メートル、全国最大のなぎの巨木といわれ、天然記念物に指定されている。
境内にある熊野行幸記念碑…それによると後白河上皇33度、後鳥羽上皇29度、鳥羽上皇23度など23方で、合わせて141度と彫られている。